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ショパン  ピアノ協奏曲第1番

めくるめくような独特の演奏様式

  • マルタ・アルゲリッチ (ピアノ)
  • クラウディオ・アバド (指揮)
  • ロンドン交響楽団
  • 1968年 セッション録音

粒立ちの良い鋭敏なタッチ。次々と楽想が溢れ出るように、小気味よく繰り出してくる。敏捷な指の回り具合が気持ちよい。単に指がよく動くというのではなく、技巧性が不可欠な要素として、そのめくるめくような演奏様式に寄与している。
打鍵は軽めで、馬力はそんなに強くない。中軽量級。

作品像を奔放に自在に描き出しているけれど、演奏自体は端整にコントロールされている。少なくとも、没入しているとか熱に浮かされているような感触はない。
そういう意味では、情感が溢れ出してくるような音楽ではなくて、アルゲリッチのめくるめくような独特のスタイルと、優れた技巧を賞味すべき演奏という気がする。

アバドとロンドン交響楽団は、抜群にうまくて、行き届いている。それでいて、出過ぎることがない。理想的なエスコートぶり。

(2014-04-20)

楽曲の華やかな演奏効果を存分に聴かせる

  • クリスティアン・ツィマーマン (ピアノ)
  • キリル・コンドラシン (指揮)
  • アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
  • 1979年 ライブ録音

ツィマーマンにとっては、ジュリーニとの正規録音の翌年の、実録ライブ(こちらも正規録音だけど)。終楽章の終結を待たずに、拍手と歓声がなだれ込む。

端整に造形しながら、音の粒のひとつひとつがキラキラしているような、見事なタッチ。そこに、力感と推進力が加味されている。特に第一楽章後半や終楽章はスリリングなくらい。
楽曲の華やかな演奏効果を存分に聴かせる。

陰影とか、詩情を醸すような語り口ではないけれど、勢いの中にも繊細な音の扱いは揺らいでいないので、あっけらかんとした音楽にはなっていない。

ある種の気分とか情緒に浸るには物足りないかもしれないけど、この協奏曲の楽しみ方の、ひとつの典型を味わうような気がする。

曲が曲だけに、ということもあるかもしれないが、コンドラシンによる管弦楽は手堅いサポート。
オーケストラのマイルドなトーンを活かして、音楽にウェットな質感を持ち込んでいる。

(2014-04-23)

ツィマーマンの美意識が、高い純度で結晶化

  • クリスティアン・ツィマーマン (ピアノ / 指揮)
  • ポーランド祝祭管弦楽団
  • 1999年 セッション録音

序奏から思い入れたっぷり。繊細かつ感傷的な方向で、抑揚とか緩急の大きな音楽が展開される。楽曲の方向性からは外れていないと思うけれど、極端な表情がつけられている。
が、恣意的(=気まま)ということではない。むしろ、考え抜き、磨き上げられている。オーケストラの指揮もツィマーマンが担当していて、己れの欲するところを徹底的に浸透させている。

ピアノ、オーケストラともに、明解で濁りのない響きで一貫している。盛り上がる場面でも、騒々しさとは無縁。そして、思いに浸るような場面にさしかかると、グッとテンポとか音量を落として、耽るように奏でる。室内楽的と言いたくなる親密な連携の下に、ツィマーマンの構想を体現している(と思う)。
オーケストラは、経過句あたりの表情はところどころ堅かったりで、自発性みたいなものは感じにくいけれど、ツィマーマンの要求に律儀に丁寧に対応している。

提示されている作品像は感傷的だったり夢想的だったりだけど、ツィマーマンにも、オーケストラにも、内から溢れ出してくる思いを音楽に置き換えた、みたいなのは感じられない。発想の大元には深い共感があるのかもしれないが、考え抜き、計算し尽くしつくされた、きわめて人工的な音楽が響いてくる。

(2014-04-19)


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